サイトの概要
このサイトではインドネシア・バリ島に暮らすムスリム(イスラム教徒)の人たちの伝統芸能を紹介します。
青い空と海、椰子の木と田んぼ、青銅のガムランのキラキラした音色、躍動的なケチャの歌声、華やかな衣装で着飾った踊り子たち、色とりどりの供物を寺院へ運ぶ女性たち。観光客だけでなく、数多くの研究者たちがこの島を訪れ、バリの文化や芸能に魅了されてきました。
しかし広く知られたバリ芸能のほとんどすべてはヒンドゥー教徒の人々によるものです。
インドネシアは全体としては人口の9割近くがイスラム教徒。その中にあってバリ島は唯一、ヒンドゥー教徒が多数派を占める独特な地域として知られてきました。
バリ島にはイスラム教徒の集落も存在し、彼らにも音楽や舞踊の伝統があることは、長い間ほとんど知られず、観光客も、研究者も、そして多分バリの人々すらもバリの文化=ヒンドゥーの文化だと思い込んできたのです。
多くの(ヒンドゥー教徒の)バリ人はバリにいるイスラム教徒はみんな、最近になってよその島からやってきたよそ者だと思っています。またイスラム教徒はお祈りするだけで、ヒンドゥー教徒のように儀礼で踊ったり歌ったりしない、「芸術家」じゃない、とそんな風に思っている人も少なくありません。
でもそれは間違いだということが調査によってわかりました。
たしかにバリ島だけを切り出してみると、ムスリムは人口の1割程度。少数派ですが、彼らもまたバリ社会の一部として歴史の中で重要な役割を担ってきました。たしかに最近になってムスリムの移住者が増えたのは事実ですが、バリの各地には数百年の歴史をもつムスリム集落もあります。オランダの植民地になる以前のバリ島に林立した小さな王国には、特別に勇敢な兵士として王に仕えたり、国境を守ったり、あるいは商人や通訳として活躍したムスリムがいました。
彼らはヒンドゥー教徒の芸能とは異なる、独自の伝統芸能を育んできました。それらの芸能は近隣の他の島の文化とつながりを持ちながら、バリ独自のかたちで発展してきました。
調査の中で出会ったムスリムの人々の多くは、バリで生まれ、バリで暮らし、バリ語を話す自分を「バリ人だ」と考えていました。彼らの先祖は、ヒンドゥー教徒のバリ人と同様に、何百年も前からバリ島に根を張って生きてきたからです。ただ信仰が異なるだけなのだ、と彼らは言います。
このサイトではユニークな伝統芸能をもつバリのムスリム集落を文章と写真、ビデオによって紹介しています。何度もバリを訪れているバリ好きの方、バリの伝統舞踊やガムラン音楽に興味をもっている方に、あるいはインドネシアの社会や文化全般に関心のある方にこのサイトを通じてバリのムスリムの伝統芸能に触れていただき、彼らの文化や社会を知る糸口にしていただければ幸いです (増野亜子)。
青い空と海、椰子の木と田んぼ、青銅のガムランのキラキラした音色、躍動的なケチャの歌声、華やかな衣装で着飾った踊り子たち、色とりどりの供物を寺院へ運ぶ女性たち。観光客だけでなく、数多くの研究者たちがこの島を訪れ、バリの文化や芸能に魅了されてきました。
しかし広く知られたバリ芸能のほとんどすべてはヒンドゥー教徒の人々によるものです。
インドネシアは全体としては人口の9割近くがイスラム教徒。その中にあってバリ島は唯一、ヒンドゥー教徒が多数派を占める独特な地域として知られてきました。
バリ島にはイスラム教徒の集落も存在し、彼らにも音楽や舞踊の伝統があることは、長い間ほとんど知られず、観光客も、研究者も、そして多分バリの人々すらもバリの文化=ヒンドゥーの文化だと思い込んできたのです。
多くの(ヒンドゥー教徒の)バリ人はバリにいるイスラム教徒はみんな、最近になってよその島からやってきたよそ者だと思っています。またイスラム教徒はお祈りするだけで、ヒンドゥー教徒のように儀礼で踊ったり歌ったりしない、「芸術家」じゃない、とそんな風に思っている人も少なくありません。
でもそれは間違いだということが調査によってわかりました。
たしかにバリ島だけを切り出してみると、ムスリムは人口の1割程度。少数派ですが、彼らもまたバリ社会の一部として歴史の中で重要な役割を担ってきました。たしかに最近になってムスリムの移住者が増えたのは事実ですが、バリの各地には数百年の歴史をもつムスリム集落もあります。オランダの植民地になる以前のバリ島に林立した小さな王国には、特別に勇敢な兵士として王に仕えたり、国境を守ったり、あるいは商人や通訳として活躍したムスリムがいました。
彼らはヒンドゥー教徒の芸能とは異なる、独自の伝統芸能を育んできました。それらの芸能は近隣の他の島の文化とつながりを持ちながら、バリ独自のかたちで発展してきました。
調査の中で出会ったムスリムの人々の多くは、バリで生まれ、バリで暮らし、バリ語を話す自分を「バリ人だ」と考えていました。彼らの先祖は、ヒンドゥー教徒のバリ人と同様に、何百年も前からバリ島に根を張って生きてきたからです。ただ信仰が異なるだけなのだ、と彼らは言います。
このサイトではユニークな伝統芸能をもつバリのムスリム集落を文章と写真、ビデオによって紹介しています。何度もバリを訪れているバリ好きの方、バリの伝統舞踊やガムラン音楽に興味をもっている方に、あるいはインドネシアの社会や文化全般に関心のある方にこのサイトを通じてバリのムスリムの伝統芸能に触れていただき、彼らの文化や社会を知る糸口にしていただければ幸いです (増野亜子)。
バリのムスリムの芸能にはまだよくわからないことが多く、助成終了後も研究は進行中です。サイトの情報も随時加筆修正していく予定です。
情報の誤りのご指摘や情報のご提供を歓迎いたします。
テキスト、ビデオ、写真の無断転載は堅くお断りいたします。
また、当サイトのテキスト・画像・リンク先の動画を手がけた者、およびサイト作成者については次の通りです。
テキスト(日本語・英語) 増野亜子
英語テキスト監修 ウェンデル・イシイ
インドネシア語テキスト翻訳 野村羊子
インドネシア語監修 イルシャッド・リド
写真・ビデオ撮影 増野亜子 城島茂樹
サイト作成 城島茂樹